初めての顔合わせ。慣れないパパ活の中で出会った元カレとの出会い
パパ活アプリ「ペイターズ」で出会った元カレが居る。かれこれ付き合いは4年くらいになるだろう。
元々は、私のパパとして食事やデートにつきお手当をくれていた存在。
付き合ったのは1カ月ほどだが、今ではパパ活で出会った人の中では一番付き合いが長い。
最初出会った時は、恵比寿の高級焼肉屋さんだった。地方から上京して4年ほど経った私だったが、
恵比寿の街並みはいつ行っても都会的で洗練された印象だった。
アプリで指定された待ち合わせ場所に行くと、スーツで背の高い男性が立っていた。
アプリでは顔写真がなく、プロフィール欄に身長や年収、職業などが書いていただけ。
待ち合わせ場所に着きました、とペイターズのアプリで連絡すると、スーツの男性はこちらの存在に気づき、近づいてきたのだった。
「ペイターズの〇〇さんですか?」そう聞かれた私は、「はい、〇〇です、始めまして」と軽く会釈し挨拶した。
それが元カレとの初めての出会いだった。
その後、予約してくれていた高級焼肉店の中に入り、冷えてキンキンになったビールを注文した。
「お酒お好きなんですか?」と聞くと、「そうだね、よく飲むかな」と笑顔で答えた。
実はその当時、パパ活してまだ間もなかった頃。
私は、表情もぎこちなく、どこか挙動不審だった。
自分が、アプリに載せている写真と違うと思われてたらどうしよう・・がっかりされないかな・・
お手当はきちんともらえるかな・・払い逃げとかされたら堪ったもんじゃないな・・
不安になりながら頭の中で思考をぐるぐる巡らせていた。
すると、「きょどっててウケる。面白いなー」と言い始めた。
初対面だが、彼は容赦なく私に発言してきたのである。
ため口&馴れ馴れしい態度。なんだこいつ・・と思いながらも、その一言でとりあえず気に入ってくれていることは理解できた。
元カレは、当時30代前半。私より6つ年上だった。
年上の包容力だろうか、彼といると初対面にも関わらず自分が自然体で居られていることに気づいた。
焼肉店では、他愛のない話をしていた、お互いの異性の好みのタイプ、パパ活歴はどれくらいか、何人くらいと会ってきたか。
そんな話を2時間ほどした。
「そろそろ帰ろうか、今日はありがとう。これお手当ね」と言われた。
お手当はアプリで事前に約束していたとおり、1万円渡された。
無事にお手当を貰えた安心感と、私は楽しかったのもあり、「良ければライン交換しませんか?」とこちらから打診してみた。
そこから連絡先を交換し、恵比寿の駅前で解散した。
帰りの日比谷線の電車の中、彼から1通のラインが届いた。
「今日はありがとう。楽しかった」
電車に揺られながら、返信内容を考えていた。その当時の私は、彼のことを”パパ”として認識しており、
恋愛対象ではなかったが、人畜無害といえば酷い言い方かもしれないが、「ちゃんとお手当をくれる一緒に居て楽しいパパさん」と思っていた。
完全にパパ活脳だった私は、どうやったら2回目に繋げられるか模索していた。
考えた末にラインを返信した。「今日はありがとうございました、普段人見知りする私ですが、〇〇さんと居たら時間があっという間に過ぎてました。これからも継続して会いたいなと思ってます、もしよかったらまた会ってくれませんか?」
そう送った。
5分後くらいにまたラインの返信あった。彼からだった。
「俺も今日は楽しかった。なんか変なところが気にいった、だってあんなに挙動不審なP活女子いないって、また会おうね。」と返信が来ていた。
どうやら彼は私の変な所が気に入ったらしい。
そこから週に何回かラインをしていくうちに、彼のことを段々知っていくことになる。
「パパ活では、普段出会えないような変わった人と出会いたい」という思いがあったという。
元々はキャバクラ通いが趣味だった彼。パパ活に手を染めたきっかけ
彼は、パパ活で大人の関係を積極的にしているわけではなく、食事デートを重ねて気が合った人とは2回目、3回目と会っていくようなスタイルでパパ活をしていた。
東京生まれ。実家は父親が経営者で、裕福な環境で育ったらしく、お金に困ったことはなかったらしい。
彼は元々、キャバクラ通いが趣味で都内のキャバクラに足を運んではお金を落としていた。
いわゆるキャバ嬢のようなキラキラとした、美人が好きで、キャバクラに行っては連絡先を交換し、玉砕覚悟でキャバ嬢を落とそうと口説いていたこともあるんだとか。
元々仕事には真剣に取り組み、真面目な性格ではあったが、キャバクラ通いはなかなかやめられなかったようだ。
そんな時に、キャバクラ以外の女遊びを考え、インターネットで検索した時「パパ活」の存在を知ることになる。
パパ活アプリは、ペイターズだけで他はやってなかった。
パパ活アプリに登録すると、可愛い子だらけでビックリしたそうだ。
OL、看護師、モデル、レースクイーン、キャバ嬢、ラウンジ嬢、大学生など女性の肩書は様々だが、
こんなに可愛い子が集まっているアプリはペイターズだけだと言い張っていた。
そこから彼のパパ活生活が始まったわけだが、パパ活での顔合わせをしたのは70人は超えていた。
そのうち、2回目会うことになったのは、2割に満たないという。
と、彼のプロフィールはとりあえずここまでにしておこう。
彼とはラインのやりとりはほぼ毎日。初めてのアウトレットパパ活デート
彼とは、1回目の顔合わせの後から、頻繁にラインのやりとりをしていた。
日常の他愛のないことで、報告し合ったりパパ活について語り合っていた。
そして、2回目のパパ活デートをすることになった。
彼は、木更津のアウトレットに行きたい!と私を誘ってきた。
私は「お手当は前回と同じ1でいいですか?」とラインで返信をした。
「いいよ、車で迎えに行ってもいい?」と言われたので、
あまり親しくない人の車に乗るのは抵抗があったが、初対面の印象からなんとなく大丈夫だという印象を受けたので
了承した。
2回目のパパ活デート当日、彼は赤のポルシェで自宅の付近まで迎えにきた。
外車にそこまで詳しくない私でもポルシェは分かった。正直、人生初ポルシェだった。
「〇〇さんの車ですか?」と聞くと、「そうだよ、親のだけど、貰ったのも同然だね」と言っていた。
都会の金持ちって、親から車貰うのが当然なのか・・?と驚愕したが、
とりあえず車に乗り込むことにした。
なんだかいつもより、車高が低く乗っていても違和感がある。
庶民の私には、乗り心地が良いとは言えない車だったが、外車に乗れた喜びと2回目のパパ活デートに成功した喜びで胸は高鳴っていた。
高速道路で、木更津に向かった。社内の会話も、終始盛り上がっていた。
木更津のアウトレットまで一時間半の道のりだったが、それまでのパパ活とはけた違いなくらい面白かった。
そして、木更津アウトレットに着いた。パパ活でアウトレットに行ったのはそれが初めてだった。
色々な洋服が並んでいる、ハイブランドも多い。
キョロキョロして歩いていると、彼がこう言った。
「実はね、〇〇ちゃんのその洋服、ダサいから全部買ってあげようと思って」
ダサい・・?一応オシャレしてきたつもりなんだけど・・
そう頭の中で思いながらも、まさか買ってもらえるとは思っていなかったため嬉しくなってつい
大声で「いいんですか?!選んでください!」と返事した。
洋服には興味があったし、アウトレットデートということもあり、自分では気合を入れた服を着ているつもりだった。
だが、彼から見たら都会の洗練されたいわゆる「おしゃれな洋服」には見えなかったそうだ。
ちなみに、黒のセーターに、ショートパンツ、首にはチョーカーをつけていた。
彼とアウトレットで色々なお店を見ていると、彼が「これ試着してみて」とデニムを渡してきた。
デニムなんて普段履かなかったが、試着してみることにした。
試着してみると、サイズはぴったり。私はヒップが大きいのがコンプレックスだったので、いつも隠すことに注力していたのだが、彼曰くチャームポイントだからむしろ強調した方が良いとのことだった。
試着して彼に見せると、「いいじゃん!」と大喜びしていた。
デニムは3万5千円ほど。ボトムスだけで、その値段なら全身コーデになるとお金がかかるんじゃないか・・と思ったのだが、彼はあっさり買ってくれた。
その後、違うお店に入りそのデニムに合う、上の服を探していた。
白のタートルネックと、ベージュのライダースコートを選んでくれた。
自分では絶対に選ばないようなコーディネートだ。
シンプルだけど、”洗練された大人の女性”といったコーディネート。
会計は既に7万円を超えていた。
「さすがに申し訳ないので・・」と言うと、「これくらいいいよ、靴も選ばなきゃ」と嬉しそうに彼は言った。
時期は秋。そろそろ肌寒くなる頃だったので、靴屋にはブーツが並んでいた。
ピンヒールの黒のショートブーツを彼は指差し、絶対この服に合う!履いてみて。と言った。
買ってもらった洋服は既に着ていた。ブーツを履いてみると、全身鏡に映った私はまるで自分じゃないようだった。
「こんな自分を見るのは初めて・・」となんだか嬉しくなった。
彼は、自分自身の洋服を選ぶのは得意ではないようだが、女性の服を選ぶセンスはあった。
アクセサリーやなんだかんだ、買ってもらい会計は10万円を超えていた。
「いいんですか?本当にありがとうございます」と言うと、彼は嬉しそうにしていて
満面の笑みで「こういうの好きなんだよね、女性好みに変身させたりとか」と言っていた。
実は、私の中には変身願望があった。今までの自分とは見た目も中身も大きく変わりたい。
固定概念から脱して自由になりたい。と思っていたのだった。
そんな中、自分の違う一面が見れたその日、絶好調に幸せな気分だった。
アウトレットの窓ガラスに映る自分を見ながら、「これが私か」と胸が高鳴った。
その日は、パパ活の概念が覆った日でもあった。
私の思っていたパパ活は、もっと淡泊でお手当の対価として体の関係を持つ。それ以上でもそれ以下でもないものだと思っていたのだが、彼とのショッピングデートは「自分が変わる瞬間」を目の当たりにすることができ、単純にお手当を貰う喜びとは違うものだった。
時刻は18時半を回っていた。
「そろそろ帰ろっか」と彼が言った。
アウトレットから出た私達は、ポルシェの車に乗り込み東京に戻った。
帰りの車内では、彼が「その服ほんとにいいわぁ」と運転席から私の方を眺めながら、恍惚とした表情でぼそっと言っていた。
自宅周辺まで送ってもらった私は、「今日はありがとうございました!本当に自分が生まれ変わったみたいで、幸せな一日でした!また是非会いたいです。家に帰ったら連絡します」
とお礼を言った。
彼は、「また会おうね、はい、これお手当ね」と私に1万円を渡した後、車を発進させた。見えなくなるまで、私は手を振り続けた。
家に帰ってから、全身鏡で自分の姿を見ながら余韻に浸っていた。
しばらくして眠りについたのだった。
それからしばらく、彼とはラインでやりとりを続けていた。
普段洋服を買う時は、一人で待ちをぶらりと歩きながら、良い服がないか探していることが多かったが、
彼のセンスの良さに頭が上がらなくなったこともあり、服を買う時は彼の意見に従おうという考えになっていた。
三回目のパパ活デート。彼をいつしか一人の男性として見ていた自分
それからしばらくして、3回目のパパ活デートをすることになった。
その日は、映画を見ることになっており、私は六本木の映画館へ向かった。
洋服は、前回のアウトレットで買ってもらったライダースコーデを着ていた。
待ち合わせで落ち合った瞬間、「いい女が歩いてきたと思ったら〇〇だった、本当見違えたね」と彼に言われた。
とはいえ、彼は私と歩いている間も、すれ違う六本木の華やかな女性に目を奪われていたのだった。
3回目のデート、19時六本木の映画館の前で待ち合わせをした私達だったが、3回目にもなると「大人の関係」を打診してくるのでは?と思っていたが、彼にその日の予定を聞くと、映画を見に来ただけだから、現地集合・現地解散と言われた。
パパ活では、ほとんどの人が3回目にもなると、大人の関係」を匂わせてくる人が多い。
パパ活をしている多くの男性の目的は、「疑似恋愛をしながらあわよくばセックスに持ち込むこと」である。
女性の目的は様々だ。「とにかくお金が欲しい」「パパ活でタダ飯を食べたい」「上昇志向があり、経営者など社会的に成功した人の話を聞きたい」など。
パパ活での、パパ側の目的とP活女子の目的が上手く合致した時、パパ活はうまくいくのだが、元彼と私の目的は意外にも合致していた。
というか、彼は私と出会う前のパパ活では、「女性を育てること」に対して興味はあったようだが、経験はなかったのだが、私と出会って実際に世話を焼いているうちに「与えることへの快感」を覚えたようだった。
3回目の映画館デートの時、12月半ばだった。街並みはもうクリスマス仕様だ。
ディズニーの映画を見終わった後、残ったポップコーンを食べながら映画の感想などを言い合っていた。
パパ活での映画デートもこれが初めてだった。
「この人は、パパ活の常識を変えてくる人だな、新鮮で面白い。パパ活ってこんなに楽しいんだ」
そう思っていた最中、彼からこんなことを切り出される。
「〇〇ちゃんは、俺のことパパとして見ている?」と。
私は咄嗟に、「パパとしてというか、一緒に居て居心地が良いからこの先もずっと一緒にいたいと思ってます」
と答えた。
彼は嬉しそうに、「そっか、なら良いんだけど」と答えた。
でも私はふと思った。この感情って何なんだろう。恋愛のデートと変わらないよね。
そんなことを頭で考え始めるようになり、解散して自宅に帰った後、彼に連絡してみた。
よく考えたら、その時から彼のことは意識していたのかもしれない。
彼とは、その後もラインのやりとりを続けていた。
クリスマス当日。事態は思わぬ展開に・・
クリスマスが近くなり、彼から4回目のパパ活デートを誘われた。
12月24日。クリスマスの日に、イルミネーションを見に行こうとのことだった。
彼は30代前半。結婚しててもおかしくない歳だが、独身で彼女無し。
パパ活でクリスマスを過ごすというのも、なんだか不思議な感じではあったが、私も特に予定がないので了承することにした。
そして12月24日。クリスマス当日・・
18時に日比谷駅の前で待ち合わせした。日比谷では毎年、ミッドタウン前でイルミネーションをやっている。
待ち合わせ当日、日比谷駅近くのフレンチレストランに向かうことになった。
店内は、クリスマスの内装が施されており、雰囲気もムーディーだった。
いつも通り、ご飯をご馳走になっていると彼がこうつぶやいた。
「今日クリスマスだけど会えると思ってなかったから嬉しい。」
私も実際パパ活でのクリスマスデートは人生初だったし、不思議な感じはあった。
その日もお手当1を貰う予定だったし、パパから彼氏に関係性が変わるなんて思ってもいなかった。
食事が終わり、イルミネーションを外で二人で眺めていると、彼がこういった。
「ねえ、もしよかったら彼女になってくれない?」
私は目が点になった。パパからの告白。6つ上だし、年齢的には恋愛対象ではあったが
クリスマスの日に告白されるなんて、考えもしなかったからだ。
「・・・・・・」
1分くらい沈黙が続いた。答えに迷ったのである。
沈黙のあと、私は静かに口を開いた。
「びっくりしました、告白されると思わなくて・・私でいいんですか?」
恥ずかしそうにそう言うと、「〇〇ちゃんがいい」彼はそう言った。
そこから、彼との交際が始まったのである。
パパ活で恋人ができたのは、その時がお互い初めて。
彼のことはパパと思っていたのに、食事、ショッピング、ドライブなど恋人とほぼ変わらないデートをしていって、彼を知るうちに私も自然と気持ちが入っていたのだ。
イルミネーションは本当に綺麗だった。街に溢れるカップルと同じように、初めて彼と手を繋いだ。
手が暖かい。”あれ、今私パパ活してないよね、悪いことしてないよね、だってももう彼氏なんだもん”
パパが、恋人になった日。
帰りに赤いマフラーを買ってもらったのを今でも覚えている。そのマフラーは今でも大事にとっておいている。
「今日はありがとう、付き合ってくれて本当にありがとう」そう言われて、帰り道駅の改札前で抱きしめられた。
「これからよろしくお願いします」と言うと、彼は「敬語いいよ、恋人なんだから」と言った。
彼とお別れして家に戻った後、一人で買ってもらった赤いマフラーを見ながらその日のことについて振り返っていた。
定期パパから恋人に・・関係が変わることで様々な心境の変化が
彼は連絡がマメな方だった。仕事は忙しいが、合間があればすぐに返してくれる。
彼は、日本橋に住んでいた。付き合ってからは、彼の家にも遊びに行くようになった。
自宅と彼の家の往復生活になっていたのだが、ある日彼が「一緒に住みたい」と言うようになった。
着替えを持って、彼の家に行き、また帰るという生活が結構ハードな生活だったため、
同棲の方が気が楽だったし、東京で同棲したことがなかった私はウキウキしていた。
「いいよ、同棲しようよ」と言うと、彼は喜んでくれた。
同棲してからは、日本橋をぶらぶら歩きながら美味しそうな店を二人で開拓したり、スーパーに寄って材料を買って一緒に料理を作ったり、土日はドライブに行ったり、寝る時は一緒のベッドで寝たりと幸せな日々だった。
彼は几帳面な性格だったため、家の中では私がだらしなくしていると文句を言ったりすることもあったが、
好きだったから許せたのだった。
そんな日々が1カ月ほど続いた。そんなある日、彼と私の間に決定的なことが起こる。
私は相手のことを好きになると、嫉妬してしまう癖があるのだが、それが悪い方向に働いた。
彼が寝ている間に携帯を見てしまったのだ。
「〇〇ちゃん、俺の家政婦になってよ、〇〇ちゃん可愛いから家に置いておきたい」
そんな内容だった。
私はまず最初に相手の女性がどんな人なのか知りたくなった。
彼は自分の携帯を見られていることに気づき、激怒した。
「なんで見るの?ありえないんだけど」そう言われた。
私は感情的になり、大声で「じゃあ、これ誰?家政婦になってっておかしいでしょ」と言ったら
「パパ活の子。」と言われた。
ショックすぎて、声が出なかった。涙がぽろぽろ出てきて止まらない。
浮気をしているとか、現場を見たわけではないけど、自分と同棲しているのに「家政婦になってよ」というラインをしていたのがどうしても耐えられなかった。
「私よりその子がいいの?」と彼に尋ねた。
彼は、しばらく不機嫌になって無言を貫いていたが、ようやく口を開いた。
「その子とは一回パパ活しただけ、プライドが高くて絶対落とせないような子だったから、家政婦になってよって言っておちょくった。それだけ。好きでも何でもない」そう言った。
私は疑心暗鬼だった。なぜだろう。パパ活女子とラインをしていたという事実が一番許せなかったのかもしれない。
私もパパ活女子だったし、人のことは言えないかもしれないが、
皆にこのように口説いていると思うとなんだか悲しくなったのである。
咄嗟に、荷物をまとめて家を飛び出した。
私は知り合いの県外の男性の家に逃げ込んだのだった。
鬼のように電話が鳴る、彼からだった。
半日くらい電話に出なかったが、あまりにも電話が鳴りやまないので出ることにした。
「もしもし・・」と言うと、彼が「やっと出てくれた、今どこにいるの?」
「・・・男の人の家。」そう言うと、電話をブチっと切られた。
その後ラインが来たが、一日返信を返さなかった。
”どうしても許せない。パパ活女子なら誰でもよかったの?”
そう思いながら、一夜を過ごした。
翌日、彼から一通のラインが来ていた。「男の家とかありえない、もう終わりにしよっか」
そう来ていた。
一日経つと、自分の中で”ちょっとやりすぎたかな”という反省の気持ちが湧いてきた。
「このまま終わりたくない」そう返すと、彼は
「やっぱりパパ活女子はパパ活女子なんだね、自分の都合しか考えてない。お手当もらえる都合の良い相手で終わった方がお互いよかったんだよ」と言ってきた。
私は正直別れたくなかった。彼のことは変わらず好きだったからだ。今までの思い出が走馬灯のように頭を駆け巡り、
涙があふれた。
そのことがきっかけで、彼とは別れることになった。
1カ月の短い同棲生活だった。
別れてからは、しばらくお互いに連絡はしなかった。
そんなある日、彼からラインが来た。
「色々考えたんだけど、良い友達で居たい。〇〇とはつながってはいたい、この先の人生もずっと見ていたい」と来た。
私はしばらく考えたが、このまま元カレということで、さよならするのは悲しいと思い、
「わかった、友達になろう。私もやりすぎた、ごめんね」と返した。
その日からはパパでも恋人でもなく、友達という関係性になった。
彼は、別れてからもお手当は渡すことはなかったが、買い物に行っては洋服を買ってくれたり、
食事をおごってくれたりした。
また、生活指導もしていた。「きちんと仕事をすること」「パパ活に染まらないこと」「読書をすること」
そんなことを私に都度指導していたのだった。
正直当時は分からなかった。彼は別れたのに、なんで洋服を買ってくれるのか、細かい生活指導をするのか・・
彼の思惑は1つだった。「私のことは好きだけど、今のままでは付き合えないし、結婚もできない。
だから変わってほしい」そう思っていたようだった。
彼は私をペットのようにかわいがってくれた。友達とはいえ、付き合っていた頃と変わらない位連絡もとっているし、会っていた。
彼を忘れたくて、パパ活の予定を入れまくる毎日。荒れ狂う生活
しかし、私は彼の意図を分からないまま、パパ活を続けていた。
パパ活アプリで新規の人と会っては、お手当をもらい、また顔合わせをする。
そんな日々を繰り返していた。働いていた職場を辞め、パパ活一本の生活になった。
彼と別れてからは、思い出しては泣き、苦し紛れにお酒を多量に飲んだりした。
忘れたい。忘れたい。パパ活アプリなんてやらなきゃよかった。
彼と出会ったのは間違いだったのかな、もう付き合えることはないのに。
寂しさを埋めるようにパパ活の予定を入れていった。
パパ活をしている間は、思い出すこともない、苦しむこともないんだ。
彼には、「今なにをしているの?」と聞かれた時、「パパ活」と正直に答えていた。
彼は彼で悩んでいただろう。自暴自棄になっていく私の姿を見て、色々と考えていたんだろう。
パパ→恋人→心を許せる唯一の友達になった彼。パパ活で得られた大きな存在
パパ活の予定で忙しかった私は、彼と会うのは1カ月に1回程度になった。
ある日、彼が旅行に行きたいと提案してきた。
箱根に行きたいとのことだった。彼と箱根旅行。複雑な心境だった。
ちなみに彼は別れてからは、一切手を出してこない。体の関係はなかった。
「いいよ、箱根にいこっか」そう言った。日程を決め、その日になった。
久々に会った彼は、相変わらず元気そうだった。
箱根には彼の運転する車で向かったのだが、車内ではこんな話をしていた。
「おれ、最近パパ活してない、〇〇と出会ってから、パパ活欲がなくなった。今こうやって会えてるでしょ
それだけで幸せだし」と言われた。
私は、「じゃあ何で付き合ってくれないの?パパ活止められるほど好きだったらもう一度付き合ってもいいじゃん」そう言うと、
「今は年齢的にも結婚を考えられる人と付き合いたい、〇〇のことは好きだけど、仕事もしてないし、パパ活もやめてない。そんな人とは付き合えない」と言われた。
パパ活をやめた所で、また付き合ってくれる保証もない、彼は今の関係がきっと心地よいんだ、
そう感じた私は、それ以上彼を追い詰めるような発言はしないことにした。
箱根についた私達は、観光を楽しんだ。
そうやって彼とは、色々な所を旅行したり、イルミネーションを見に行ったり、ご飯を食べに行ったりと
友達以上、恋人未満の関係を続けた。
今では彼とは4年の付き合いになる。パパ活で知り合った人の中で断トツで付き合いが長いし、
今では何でも話せる良き友達になっている。
彼とは、本当は結婚をしたかった。もっと私が努力できて、頑張れたら意識の高い彼と
結婚することもできたかもしれない。
あの日家を飛び出していなかったら、未来は変わっていたのかもしれない。
でも私は今になって思う。彼も私も、パパ活という渦の中で「大切な人」を見つけた。
人生今後付き合っていく上で、心の支えになる人だ。
彼は今でも私の存在は大事だと言っている。「替えが利かない存在」だと。
関係性は変わっても、かけがえのない存在ということは変わらない
彼との出会いは、パパ活の中での私の1番の思い出になった。